だがExcelレガシーは長年改良を重ねてきたため,肥大化・老朽化し,しかも開発を担当した業務担当者が異動や退職でいなくなり,保守ができない状態になりつつある。加えて,内部統制の観点から,ブラックボックスのExcelレガシーは問題視されるようになった。
Excelに代表される表計算ソフトは日常の業務に深く入り込み、既に切り離せない状況になっています。基幹となるシステムがWindows系に置き換わってきた理由のひとつに、「簡単にデータをエクセルに落とせる」という謳い文句のもあるのではないかと思っています。
実際のところ、表計算ソフトはちょっとした作業の効率化や体裁を整えるのは非常に便利です。ですが、表計算のデータはデータテーブルのフォーマットが一様でないため、データの使いまわし(再利用)には不向きです。そのような表計算ソフトを日々のルーチンワーク、それもデータを継続して蓄えていかなければならないような業務に使おうとすれば、さまざまな問題が発生してくるのは当り前の事でしょう。
表計算ソフトを業務で活用していく上でのさまざまな問題点やそのソリューションなどは上記リンクを参考にしてもらうとして、データの再利用という観点でWebシステムに対比させながらこの問題を見てみましょう。
先にも書いた通り、表計算のデータは不定型です。表計算ソフトでは根本となるデータとその加工および表示方法が混然一体となって構成されており、たとえるならBlogやWikiが出てくる以前のWebページに近いと言えるでしょう。昔からWebサイトを運営されている方はお分りかと思いますが、BlogやWikiが出てくる前はサイトスタイルに統一感を持たせたりデータの使いまわしをするのに手間と工夫が必要でした。その根本的な原因は、データと書式などが混然一体となっているため中身をよく知らないといじれないと言う点に尽きます。
それに対し、現在のBlogやWikiはデータの格納場所と表現させるための書式の格納場所がほぼ分離しており、書式を決めてやれば後はデータを作っていくだけになっています。データの加工はスタイルシートやテンプレートを変えることで実現できますし、書式を変える段階でデータ自体が変わってしまったりデータを消失させる危険性も少なくなっています。
表計算ソフトが蔓延る前、企業はホストにデータベースを入れ、端末からデータを出し入れしていました。加工の自由度は低かったかもしれませんが、逆に混乱も少なかったように思います。それはデータはデータで独立していたからに他なりません。表計算ソフトはユーザの自由度を飛躍的に上げたかも知れませんが、不必要なデータを氾濫させ、定型業務を不定型なものにしてしまったのも事実でしょう。
Blogがここまで流行ったのは「定型フォームにデータを入れていけばWebページができあがる」という敷居の低さにあったのは言うまでもありません。表計算ソフトもデータを取り扱う敷居を飛躍的に下げました。しかし、BlogやWikiはデータはしっかりと分離独立させながら端末の自由度を上げたようなものであるのに対し、表計算ソフトはデータとその他の境目を今まで以上に曖昧にしてしまったことは大きな問題です。
表計算ソフトの呪縛から逃れるためには、まずは表計算ソフト内へデータを格納するのを止めることが重要でしょう。データの囲い込みと分散およびブラックボックス化は百害あって一理なしです。表計算ソフトはデータ加工と表示だけために使うようにして、データはDBに保存するようにしていくのが理想かもしれません。そのためには表計算ソフトの機能を絞りこむのもひとつの手かと思います。うがった言い方をすれば、とりあえず表計算で何でも出来ちゃうのが原因という話もありますからね。
最後にExcel信者の方々へ苦言。ExcelにはExcelの謎。消える「16桁目」の怪なんて話もありますので、盲信はしないほうがよろしいかと思いますよ、ええ。


