迷走の始まり

だめだこりゃ社はB社より紹介された弁護士を雇い入た。これで順調に話が進んでいくのかと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。

だめだこりゃ社は建前では会社の存続と従業員の雇用の確保をお願いしていたが、金融機関から来たものは別の思惑を持っていた。その思惑とは、言うまでもなく債権回収額をいくらでも多くしたい、それだけである。B社が提示した内容では、メインバンクの取り分がさほど多くない。そのため、金融機関からの回し者は、どうしても担保物権に高値がつくようにしたくて仕方がなかった。

そこでこの回し者どもは、担保物権は別の買い手を探したいと言い出し始めた。B社から紹介された弁護士は、あまりこの手の話を実務として進めたことが無いようであった。そのため、この弁護士は回し者どもの意向を受け、交渉相手を探し始めたのである。

しかし、ここでも幅を利かせたのは金融機関からの回し者であった。自分のつてで担保物権売却候補先を探し始めたのである。通常、不動産売買の口利きは、紹介料としていくばくかの手数料が支払われるのが一般的である。うがった目で見れば、この回し者はだめだこりゃ社の取締役という立場にありながら、会社の資産を売って金を手に入れようとしているようにも見えるわけである。実際この取締役には、その後何度も仲介者から直接電話が入っているようだった。

B社としても、担保物権をコンペにかけるというのは想定外の出来事であった。もともとB社とは他の候補が現れないよう専属交渉契約を結んでおり、その契約を自分が紹介した弁護士に反故にされたのである。こう言った交渉の場合、変に役者を増やすとロクなことはない。

そして、ある売却先候補が現れたのである。

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