Sad storyは突然に 第4話

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軽く流しているつもりの俺は、アクセルを戻して減速しながらフロントのグリップまかせで突入していった。フロントまかせといってもフロントフォークもさほど沈んでいないので、本当に軽く突っ込んでいったつもりだった。後はアクセルを開けて脱出するだけだ。そう思った瞬間、俺は地面に投げ出されていた。

車載ビデオとかで自分のライディングを見ると、俺はクリッピングポイントでアクセルを開けると同時にバイクを寝かす癖があるようだ。今思うと、その時もひと寝かしさせたのだろう。立て直す時間など全くなく、フロントから一気にスリップダウンだ。RVFはフロントから一気に行くときがあると話には聞いていたが、全くその通りだった。俺は滑ったという感覚を持つ暇もなく、ライディングフォームを保ったままアスファルトに左肩から落ちたのだ。俺はアスファルトの上を転がりながらバイクが滑っていく音を聞いていた。あの音は何度聞いてももったいない音だ。

バリバリというカウルが割れる音を聞きながら、ああ、また金がかかるなぁと思っていたのだが、最後の方に「バキンバキン、ガコン」というとても大きな音が聞こえた。通常の転倒ではあまり聞くことの無いような音だ。なんだろうと思ったが、その時、俺はまだ転がっていたので何の音なのかは知る由もなかった。

自走できるだろうか。どのくらい壊れたんだろう。カウルはダメだな・・・そんな思いが一瞬のうちに頭の中を駆け巡る。俺はやっと立ち上がり、バイクを起こそうとバイクが滑っていった方向を探した。が、バイクが見当たらない。俺は道路上で360°回りを見回したが、バイクはどこにもなかった。一瞬混乱したが、路面についたバイクの滑走痕を追いかけて行けば良いということに気がつくまでそう時間はかからなかた。

バイクの滑走痕はガードレールのところで綺麗に無くなっていた。ガードレール周辺には割れたカウルの破片が散らばっている。もしかして・・・俺はガードレールから身を乗り出してみた。そこには、変わり果てたNC35があった。

つづく

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