世界でも有数な職人の話は面白い

先日、世界一の砲丸を作る辻谷政久さん(辻谷工業 代表取締役)の講演会に出席する機会に恵まれた。この辻谷さんのことは何度かTVで見て知っていたのだが、実際に話を聴くのは当然ながら初めてだ。

素晴らしい職人の話はとにかく面白い。辻谷さん曰く、他メーカーの砲丸は重さを合わせるために砲丸に穴を開けて加工しているのだという。軽い場合は鉛を入れ重い場合は空洞にし、その加工した後を隠すため色を塗っているのだそうだ。

辻谷さんは、場所によって密度の違う鋳鉄の状態を旋盤で削るときの音と光具合と旋盤を動かすハンドルに伝わってくる微妙な感覚で判断し、重さと中心を合わせるのだとこともなげに言っていた。全体の重さの調整はハンマーで叩いて勘で位置を調整するのだそうだ。職人の「勘」ほど恐れ入るものはない。

辻谷さんは「良い職人を育てるためには、必要以上に教えてはいけない」とも言っていた。半分くらい教えたら後は自分でやらせて考えさせるほうが良いらしい。教わったことは身につきにくく、自分で考えたことはずっと残っているというのである。なるほどなぁと思う。今の世の中はとりあえず無難にこなすことばかりが求められている。だから全て教育しておくのがいいとされているが、教わった枠の中からでることはあまりない。これは辻谷さんの言う通りの「教えすぎ」なのかもしれん。全て教えられているため自分で考える余地がほとんどなく、そしてイレギュラーな事が起こった場合の対処方法は考えられない。まさに今の世の中そのもののような気がする。

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