第1話
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第4話
第5話
PHSの電波が届くコンビニまで親切なおっちゃん(失礼)に乗せて行ってもらった俺は、早速バイク屋に電話した。
「あのー、おやじまんですが、転倒して自走できない状況になっちゃいまして・・・。」
「全然だめ?」
「全然だめどころか、崖の下にバイク落っこちちゃいました。」
「2人で引っ張り上げれる?」
「ちょっと無理だと・・・」
「高さは?」
「うーん、4mはあるかなー」
そんな会話を交わし、とりあえず来てもらうことになった。ヤレヤレだぜ。
その間、親切なおっちゃんはずっと待っていてくれた。おっちゃんと言っても、年は俺と同じくらいかもしれん。そのおっちゃんのバイクは俺の知らないバイクだったのだが、調べてみると
YAMAHAのTDM900のようだ。昔はエンジン音だけで車種が分かったのに今じゃ見ても車種さえ分からないようになるなんて、浦島太郎状態の長さに改めて驚く俺。タンコロとかBigTwinとかにはまったく興味のない俺なんだが、乗せられてみて「大排気量のTWINもいいなー」と思ったのはナイショだ。連絡先を聞きたかったが、おっちゃんは「またどこかで逢いましょう」と言ってさっそうと去って行ってしまった。
バイクもないのに皮ツナギにブーツというライダーファッションの俺は、どう見てもこの場に不釣り合いだ。早く来て来て来てーと待つこと小一時間以上、お助けマンが来てくれたのは既にPM4時近かった。
バイク屋の車に乗せられ現場に向かう。現場に到着して落下した先を見るなり「クレーンじゃなきゃムリ」となり、専門業者に連絡してもらう。途中なぜかパトカーが現れ、事故処理とか安全確保とか色々してくれた。業者が来たのはPM6時近かったのだが、それまでパトカーも一緒に待っていてくれた。業者に来てもらったのはよいが、もう日もとっぷりと落ちていたので作業は翌日に持ち越しとなった。
TDM900のおっちゃん、バイク屋のおっちゃん、警察のおっちゃん。みんな有難う。この場を借りてひとまずお礼。