以前何かのときに「紙の本は当分無くならないんじゃないかな?」みたいなことを
書いた。あの時から一年も経っていないのだが、最近は「紙の本ってあっさりなくなるかも」という気がしてきている。その理由はしごく簡単で、データに変換すれば在庫を持つためのコストが一気に下がってしまうからだ。このコストダウンは、本の流通そのものを突然ぶち壊してしまう可能性を多いに秘めていると感じる。
本がデータに変わると、まず保管するための「場所」が大きく削減できる。流通ににかかる費用も紙の本から比べたらタダのようなものだ。さらに、データをやりとりするインフラはほぼ整っており、新たな投資はさほど必要ない。物理的な在庫が無いのだから売れ残りや返本などもまったく考える必要はない。
今の本の価格は決して安いとは言えない。しかし、発行部数が300万部とかの週刊マンガは一冊300円以下だ。あのボリュームでもその価格で販売して利潤を得ることができるのである。流通とか返本とかがなくなれば、あのマンガ本自体は一冊50〜60円で十分ペイできるのではなかろうか。あれがもし一冊100円であったらもっと買う人が増えそうだ。仮に現状の出版社と執筆者の利益が一冊につき50〜60円で賄われているとしたら、それを100円で販売出来るだけでもウハウハだし販売部数までも増えるとしたらもう笑いが止まらないだろう。そう考えると、紙の本がなくなって困るのは流通業界だけなのかもしれん。
発行する側もあらゆるコスト的なリスクが少なくなるので、いろいろなものを気兼ねなく発刊できる。それが今のWebと何が違うのだと言われると難しいが、「プロが作る物はクオリティが高い可能性が高い」としか言いようがない。
細かいことは色々あるだろうけれどコストの減り方が半端じゃないので、動き始めたら一気にシフトしてしまうような気がする。