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2004年03月26日

ぽっち

[つれづれなるままに]

我が家には、短い間だったが「猫」が一緒に暮らしていたことがある。

最初に見たときは本当に小さく、弱々しかった。生まれて2ヶ月程度だったろうか。毛並みも悪く、目にも目やにがたくさんついていた。正直言って、すぐに死ぬんじゃないかと思っていた。

そのやせこけたオスの子猫は、どういうわけか家の前で泣いていたのだそうだ。見かねて嫁さんが餌をやったら、家の前から離れなくなってしまい、子供たちも飼いたいといったので我が家の一員にすることにしたのだ。

名前は子供たちがつけた。子供たちは、最初は「ぽち」がいいとか言っていたが、それじゃ犬みたいだということで、「ぽっち」と名づけた。
子猫だったぽっちは、日ごとに元気を取り戻し、大きくなっていった。毛並みもきれいになり、立派なオス猫になった。

大きくなるにつれ行動範囲が広がっていったようで、外に出たがることが多くなった。喧嘩もするようになったようで、あるときなどは陰嚢を裂かれて睾丸を露出させて帰ってきた。その後も怪我をしてくることがたびたびあり、そのたびに病院に連れて行った。

そのぽっちが、ある日を境に帰ってこなくなった。家の周りには結構のら猫がうろついていたのだが、その猫たちもぱったりといなくなった。

かなり遠くまで足を伸ばして探したが、見つからなかった。悔やんでも悔やみきれないことであったが、外に出していたことを悔やんだ。

どこかでいい飼い主にめぐり合っていればいいなと思う。野良猫になっていても、生きていればいいと心から思う。

とても顔立ちのよい、賢い猫だった。あの猫が家族に爪を立てたことは一度もなかった。今でもいつか帰ってくると信じている。外で猫の鳴き声がすると、夜中でもつい表に出て、「ぽっち」と呼んでしまう。幽霊でもいいから会いたい。

もうぽっちには会えないのだろうか。

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posted by oyajiman at 2004年03月26日 20:07:28



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