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2008年03月02日
私をアメリカに連れていって

[Man of Kind]
かなり昔の話。
ある日裏のデスクにいた俺は、アルバイトに「店長、ちょっと来てもらえますか・・・」と内線で呼び出された。どうしたと尋ねても「ちょっと・・・」としか答えない。
店に出て見ると、他のアルバイトも怪訝そうな顔をして立っている。どうしたのだと小声でアルバイトに尋ねると「あのお客さん・・・」と言う。アルバイトが見た先には、カウンターに座った一人の中年の女性がいた。
「あのお客さん、なんか一人でブツブツ言ってるんですよ。まるで誰かに話しかけるみたいに。注文は二人分ですし、なんだか恐いんですけど・・・」
アルバイトはそういって黙ってしまった。俺はさりげなくカウンター席の近くに行き、聞き耳をたてた。カウンターにはコーヒーカップがふたつ置いてあり、その女性の隣の席には誰もいない。
「そう、そうなの・・・。私をアメリカに連れていって・・・。」
その中年の女性は誰かと会話するように、空いた席に向かってその言葉を何度も繰り返していた。にこやかに笑いながら会話を続けているが、その女性の隣には誰もいない。
この女性には何が見えていたのであろうか。
かなり前に
なんで電車内で携帯で通話しちゃいけないの?というエントリを書いた。このときはあまりにエントリ内容が異なるのでこの話は書けなかったが、携帯が嫌われる理由のひとつに、「
見えない誰かと会話している様が不気味に見える」という事があると思っている。
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2008年01月04日
独断と偏見による「匿名実名推進派」イメージ

[Man of Kind]
なにやら匿名実名談義がいまだにお盛んな御様子。新年そうそう何よりです。俺はコテハンであればいいんでないの派なんですが、いろいろな御意見を見ているうちに湧いてきた偏見に溢れるイメージを綴ってみましょう。
1、実名推進かつ技術詳しいつもり派
その1:
だ、誰だ!名を名乗れ!闇討ちとは卑怯なり!!
その2:
お前の上司に抗議するから、部署と名前を言え!ホテルのサービスマンやファーストフードの店員の応対に、必要以上に過敏になっているクレーマーとダブって見えるのは俺だけだろうか。表面上はネットの将来の事とかを愁いているが、単に陰で非難されたり否定されるのが嫌な人なんだろうと思えてしまうのが悲しい。
2、コテハンでいいじゃないか派
いつ俺がそんな事言ったんだよ。何時何分に言ったか言ってみろよ。特定出来れば呼称は問わなくてもいいんじゃないのかと主張したいのだろうが、実名推進かつ技術詳しいつもり派とは根本的に議論がかみ合っていない。まさに「誰が何時何分に言ったんだよー」という小学生の喧嘩レベルの議論を展開中。
3、技術詳しいぞ派
いろいろな方法で特定できるから、単なる呼称の匿名実名なんてどうでもいいや。いわゆる「超理系」的な考えであるこのグループは「匿名実名」論議を「ネット書き込み者特定」と捕らえており、技術的に書き込み者の特定が出来れば何ら問題ないと考えている。「匿名実名」云々と言うくらいなら個人にIDでもつけんかこのドアホ、と思っているに違いない。
4、会社員派
僕ゎ雨風呂しか知らないんですけど・・・無料ブログサービス内でのコミュニティにしか興味なし。にくしぃとか貼ってなとかヤホとか心愚とかFシーツとか寿ゲームとかもあるらしいが、ブログサービス提供側のユーザー囲い込みに見事にはまり込んでいるため外界には興味が無い模様。
5、無関心派
匿名ってどういう意味なんだろ。イナゴにもなっていないグループ。スザンヌなど、いわゆるおバカキャラに近いかもしれない。でもスザンヌはかわいいので許す。
6、実名推進派の否定派
はんたーい。断固はんたーい。何でもはんたーい。お前のかーちゃんでーべーそー。特定の実名推進派に対して屁理屈こねて反発しているだけで、その言動などは昔の日本社会党を彷彿とさせる。あいつが嫌いなら嫌いとはっきり言えばいいのに。
7、完全匿名実践派
便所の落書き俺がしましたなんて自分から言う奴いるかバカ。イナゴと称してはいけないネット界のテロ部隊。まず表面だった意見を出すことはないグループ。行動あるのみ!
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2005年05月21日
今日何の日か知ってるー?

[Man of Kind]
昔、
嘉門達夫の曲?に、
アニバーサリー女ってのがあったのを覚えている方も多いだろう。「ねぇ、今日何の日か知ってるー?」ってアレだ。
そのフレーズとともに、俺はある男を思い出す。そいつは俺の大学の後輩で、俺と同じバイトもしていた。仕事は全く適当な奴で、いつでも「のへー」っとしていた。俺は奴を
「のへじ」と命名してやった。
コイツといると、なぜかいっしょに働く連中がみんなだらけてしまう。みんなのやる気をなくさせる不思議なパワーを持っていたのだ。俺はその原因が未知のウイルスにあるのではないかと仮定した。そしてそのウイルスを
『ノヘG型ウイルス』と名づけ、仕事場で発表したのである。このウイルスは感染力は強いが繁殖力は弱く、感染後数時間で死滅するようであった。
このウイルスがばら撒かれると、みんなのへーっとしてしまい仕事の効率が非常に悪くなる。他のバイトも、俺が発見したこのウイルスの存在を認識したらしく、やる気が出ないと「ノヘG型ウイルスに感染してしまいましたー。」とか言っていた。
その「のへじ」はムーミンみたいなねーちゃんに手を出してしまっていたのだが、そのムーミンから話を聞いて、
ノヘG型ウイルスが威力を増したのかと俺は震え上がった。以下、そのときの会話。
俺 「おい、ムーミン、オマイラ、二人でいるときどんなこと話してるんだ?」
ム 「何って別に…普通の会話ですよー。」
俺 「話すよりアッチが先かぁ?」
ム 「おやじまんさん、彼女いないから羨ましいんでしょー。」
俺 「(オメーとはご遠慮させてくださいよ)うるせー。お前、どうせ今日何の日か知ってるーなんて言いながらゴロニャンしてるんだろ?」
ム 「それはのへじさん。」
俺 「へ?」
ム 「のへじさん、すっごいよく覚えてるんだよ。初めてエッチした日とか、チューした日とか、そんなのだけじゃなくて、この日はどこどこ行ってそのとき私がこう言ったとか。」
俺 「ホントかよ。」
ム 「人の誕生日とかもすっごく覚えてるよ。」
俺 「アニバーサリー男か?」
ム 「そんなレベルじゃないの。信じられないくらい。いついつ誰々がこう言ったとか、誰と誰がいつどこどこで一緒だったの見たとか…」
俺 「…」
仕事はしない「のへじ」のくせに、そういうことは達者なのかよ。しかし、良くそこまで覚えられるもんだ。迂闊に変なこと言えねーじゃんかよ。オマエのメモリは何MBなんだよ。つか、男でそれってどうよ。そんな男にはなりたくない!絶対イヤだ!
そんな恐怖が頭の中を駆け巡った記憶がある。
ためしにある日、「のへじ」にいろんな奴の誕生日を尋ねてみると、「のへじ」の野郎、全部そらで答えやがった。「のへじ」恐るべし。
しかし、これは『ノヘG型ウイルス』の症状ではなかったようだ。このウイルスにたびたび感染した俺は、全くアニバーサリー男になることは出来なかったから。
その「のへじ」は、結局ムーミンと結婚して子供が三人いる。まだ『ノヘG型ウイルス』を保有してアニバーサリー男してんのか、オマエは。
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oyajiman at 13:14:38 -
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2004年10月28日
電車の中で

[Man of Kind]
電車の中で、ノートPCを開いている人は良く見かける。
個人的には電車の中でまで仕事をしなければならない人は、そんなにいないんじゃないかなと思う。あんな揺れる中でキーボード打つのは、実体験から言ってもあまりしたくはない。だから、ただ単に、移動中にPCを使ってみたいだけじゃないかと勘ぐってしまうのだ。
そういった偏見はさておき、昨日とても珍しい光景にであった。その人はノートPC、それもA4サイズのオールインワンタイプを小脇に抱えて電車に乗り込んできた。これだけでも「でっけーの持って歩いてるなぁ」と思うのだが、その人は席に座るなりPCを開け、なにやら作業を始めた。良く見るとPCからケーブルが出ている。なんと、USBマウスを繋いで使っているのだ。それもでっかいぞ。普通こういうときは小型マウスじゃないのか…
この列車は通勤電車なので、テーブルなんてない。まじめにラップトップで使わなくちゃならない。それなのにマウスをつなげるなんてどうにかしてるぜアニキと思って見いると、その人はマウスパットの脇のスペースでマウスを動かしているじゃないか!
いやぁ、そこまでしてマウス使いたいか?そんな場所にマウス置いたらキー入力できんだろ、アホか。そもそもたった10分かそこらで何できるんだ?家帰ってやれよな。
こいつはただ単にパソコン使っているのを見せたかったに違いない。間違いない。
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2004年06月08日
ヤクザ映画じゃないんだよ

[Man of Kind]
その晩はいつになくお客が少ない夜だった。こういう日に限って、招かれざる客がよく来る。
その日も例にもれず、変なチンピラ2人組が店にきていた。その客はなんだかんだと私たちに難癖をつけていた。
いくらチンピラとはいえ一応はお客であるので、適当に受け流していた。こういうとき他にもお客がいれば「他のお客様の迷惑」という建前で応対できるのだが、ほかにお客は一組しかいなかった。
チンピラ 「おい、兄ちゃん、このカードもっとくれよ。」
私 「いやぁ、勘弁してくださいよ。お買い上げの金額分しかダメなんですよ。」
チンピラ 「いいじゃねえかよ。よこせよ。」
私 「ばれたら大変なんですよ。勘弁してくださいよ。」
チンピラ 「なんだと? お客に対してそういう態度とっていいのか? あ?」
私 「すみませんねぇ。」
チンピラ 「なめた態度とってんじゃねえぞ、コラ」
私 「別になめてなんかいませんよ。」
チンピラ 「そういう態度がなめてるってんだよ。」
チンピラの言いがかりはエスカレートしていき、私もほとほと疲れてきた。疲れるだけならいざ知らず、このまま行けば堪忍袋の緒が切れるのも時間の問題であった。
そのときである。
「てめぇら、いいかげんにしねえか。」
ドスの聞いた声が店内に響き渡った。
店のカウンターに座っていたお客の一人がチンピラを怒鳴りつけたのだ。
チンピラ 「あぁ? なんだおめぇ。やんのか?」
男 「おまえら、いい加減にしておけよ。」
チンピラ 「なんだと?てめえ何様のつもりだ。」
男 「俺は○○組の××ってもんだ。文句あるんだったらいつでもこいや。」
その言葉を聞いたチンピラは、一瞬たじろいだ。かなり名の通った人物であるのは、そのチンピラの様子からも感じ取れた。
チンピラ 「お、おぼえてろよ…」
チンピラは私に精一杯の捨てゼリフを吐き、店を出て行ったのである。
私はその御人にお礼を述べた。
私 「ありがとうございます。助かりました。」
男 「おう。」
し、しぶい。いや、ホントこういう事って映画の中だけかと思っていたが、本当にあるもんなんだな。
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2004年03月29日
せんたくばばあ

[Man of Kind]
私が勤めていた店に、黄色いヤッケをきたばあさんがやってくるようになったのはいつからだっただろう。
そのばあさんは夜遅く店に来ては朝までずっと店にいた。
要は浮浪者である。その身なりから、我々はそのばあさんを「イエローばばあ」と呼んでいた。
そのばあさんは身なりは汚いが、とても品のいいばあさんだった。言葉遣いも丁寧な標準語で、方言訛りはまったくなかったので、私のいた地方の出身ではないだろう事は容易に推測できた。
ある日、そのばあさんがトイレに入ったまましばらく出てこないことがあった。歳も歳だったので、アルバイトの連中は、ばあさんがトイレで倒れているのではないかと心配し、トイレを覗いてみた。
そのアルバイトは、笑いながら私のところにやってきた。
「おやじまんさん、イエローばばあ、洗面所で洗濯してますよ~。ほかのお客さんがトイレにいけなくて困っているんですけど~」
「なに~、せんたくぅ~?」
私はそのばあさんにトイレから出てもらうよう、また、店内で洗濯等もってのほかであることを伝えに行った。
ばあさんは恐縮し、お願いだから出入り禁止だけは勘弁して欲しいと懇願してきた。私とてそこまでするつもりはなかったので、店内での洗濯だけはしないようにといって、その場を離れた。
その日から、イエローばばあは「せんたくばばあ」となった。
ある冬の夜、店から帰る途中で、道端でダンボールにくるまって寝ているせんたくばばあをみた。このばあさんは、何でこうなってしまったのだろうかと考えていたが、他人にはわからない事情があるのだろうと自分を納得させ家路についた。ばあさんには家族はいないのだろうか。この寒い中、体は大丈夫なのだろうか。苦々しい思いは拭い去ることが出来なかった。
あのばあさんは今どうしているのだろう。あの歳では、今はもう生きていまい。せめて施設にでも保護されていればいいなと思う。温かい布団の中で最後を迎えていればいいなと思う。道端で身元不明者になっていないことを祈るばかりである。
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2004年03月13日
戦国じじい

[Man of Kind]
「今日もヒマだなぁ…」
時計はすでに2時を回っている。私の働く某ファーストフードも、この時間になるとぱったりと客足が途絶える。
そのとき、自動ドアが開いて、20代前後の若者が2人入ってきた。
「コーヒー・・・」
その客は、席につくなりこう言った。なぜかどちらも不機嫌そうだ。
その客の後を追うように、ひとりの老人が入ってきて、その客の側に座った。
私は若者にコーヒーを持っていき、ついでにその老人に聞いた。
「ご注文は何になさいますか?」
老人からの返事はなかった。
その老人は若者の会話にずっと耳を傾けていた。
突然、その老人が叫んだ。
「貴様らは間違っておる。」
若者たちは怪訝そうな顔をして老人を見たが、かまわず話を続けている。
「貴様らは間違っておる。」
また老人が叫んだ。何度も何度も叫んだ。
さすがに若者も気分を害したらしい。
「俺たちのどこが間違ってんだよ!!」
しかし、老人は「貴様らは間違っておる。」と繰り返すばかりだ。
そのとき、シェークの機械が突然動き始めた。
「その機械は壊れておる。見せてみろ。」
「??? え? これですか? 別に壊れてませんよ。時間がたつと自動的に回るんですよ。」
「いや、その機械は壊れておる。」
「大丈夫ですよ。」
「いや、その機械は壊れておる。」
私は会話にならないので、これ以上言うのをやめた。
「貴様らは間違っておる。」
また老人は若者たちに食って掛かった。
若者たちも堪忍袋の緒が切れ、店を出て行った。
その後を老人はついて出て行ったのだった。
その老人はその後も何度も店に現れ、いつものフレーズを繰り返していた。
店の前で殴られていたこともあった。それでも老人はやめなかった。
我々はその挑戦的な態度から、その老人を戦国じじいと命名した。
その老人は、昔は新聞記者であったらしい。まだ生きているのであろうか。
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