最近、マンガの海賊版サイトがやり玉に上げられている。勝手に人のものを使って稼いじゃダメなのは確かだけれど、それを「ダメ絶対!」という掛け声と規制だけでは絶対に駆逐できない。
駆逐できない理由は簡単で、既存の本屋の仕組をネットに置き換えようとしているだけだからだ。海賊版サイトは正規品と比較して価格面で圧倒的に優位になっている。そのことを無視して高くても買えと騒ぐなんてバカかとアホかと。
リアルなマンガ本を買う大きな理由は「手元においておきたい」だろう。金を払って所有欲を満たすわけだ。では、立ち読みする理由はなにか。一つは「金を掛けずに読みたい」である。これは購入するほどの価値が見いだせない、買うカネがない、といった事情がベースになっている。もう一つは「保管したくない」で、これは物理的なスペースの問題である。
電子書籍化はこれらの買わない理由をクリアできる可能性を持っている。
まず価格は物流が絡まなくなるために大幅に引き下げられる可能性がある。1冊500円弱の単行本が200円で手に入るとなったら、購入意欲は一気に膨れ上がるだろう。これがもし100円以下になったら、興味がなくともとりあえず買ってみようかという人が大幅に増えるに違いない。これは実際にゲーム販売のSteamで経験済みで、Steamのセールでは定価の90%OFFみたいなものがあったりする。1万円弱のものが1000円程度で買えたりするわけで、そうなると「とりあえず買っておくか」という心理になってしまう。お陰で俺のPCは「積みゲー」が爆発的に増え、ハードディスクを増設する羽目に陥った。
電子書籍は電子データなので、物理的な保管場所などの成約も殆ど無い。今俺が持っているタブレットの中には100冊以上の本が入っている。常時この本を持って歩けるので、読みたいときにサクッと読める。また、購入もネットさえ繋がっていればどこでも買える。厳密な意味での「所有」ではないが、自分のモノのように扱えるのである。
良いサービスが海賊版を叩きのめす唯一の手段なのに、これらのメリットを生かさず販売側だけの理論で進めてもうまくいくはずはないのである。
非常に参考となる記事があったので参考までにリンクを張っておこう。
PCゲーム業界はいかに割れ厨に勝利したか Steamの”5つの戦略”