Linuxからアホ話まで、何でもありでござる

2009年11月25日

Sad storyは突然に 第2話

[Bike!Bike!Bike!]
第1話の続き

ガソリンスタンドに入り、エンジンを止めてスタッフを待つが一向に出てこない。建物の中にはお客と思わしき爺様が一人見えるだけだ。こういう誰もいないんじゃないかスタンドは田舎ではよくある話なのだが、ここはそんなに田舎でもない。お客らしい爺様がいるのだからスタッフもいるだろうと思い、そのまま待つ。体が冷えて足がつりそうだ。

お客と思わしき爺様が俺に気がつき、誰かに声をかけている。たぶん「ほら、お客さんだよ」とでも言っているのだろう。お、やっと出てくるんだな、と思いながらドアの方を注視する。その注視したドアを開けて出てきたのは、80歳近いと思われるおばあちゃんだった。

「寒いべー」
「寒いねー」
「なんぼ着込んでも体が冷えでっからあったまんねーべぇ。」
「そうだねぇ。特に手が寒いねー。」

おばあちゃんは給油口にノズルを差し込み、ゆっくりかつ小刻みにレバーを動かす。そのガソリンの入り方はとてつもなく遅い。今まで経験したなかでダントツで一番遅いと断言して良い。その長い時間に、このおばあちゃんは韓国射撃店や国内でも頻発している火事のこと、火事で死んだ人の親の心中を察すると余りあるというようなことなどをつらつらと語った。俺はうんうんと相槌を打ちつつ、ヘルメット越しに喋ってばあちゃんにきちんと聞こえているのかなぁなどと考えていた。

そうこうしているうちに、やっとガソリンが満タンになった。俺は料金を支払い、エンジンに火を入れた。

「また山(峠)に行くのがー?」
「とうぜん!」
「んだなー。おどご(漢)だもなぁ。」

吹き出しそうになったが、まぁ悪い気はしない。こういうスタンドがあるとは知らなかった。今度からはここでガソリンを入れようかな、そんなことを思いながら、再びいつもの峠に向かっていった。

つづく


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posted by oyajiman at 2009年11月25日 23:00:00



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