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2009年10月14日

ネットは実名でもこじれやすい

[これでいいのか]
橋下知事に「『お前』メール」 府職員に100人もいる! : J-CASTニュース

はてぶのタグでも「これはひどい」が結構見られるが、確かに「これはないよなぁ」というのが正直な感想だ。ビジネスでは場面場面で「主従」の関係がはっきりしているから、ビジネスでこういうやりとりはまずあり得ない。

この原因は感情のもつれにあるのかもしれない。上位職者に対してこういう文章を送る勇気はなかなか持てないものだ。それでもメールであれば出せる人もいるだろう。しかし、これを署名入りの正式な書面にして出すとなると、ためらう人も多くなるに違いない。最初はためらいで膠着状態になっていても誰かが口火を切るとその後はわらわらと湧いてくることが多いものだが、メーリングリストやウエブの場合はその「口火」を切る閾値がかなり低い。言い古されたことであるが、ネットは依然「文章」でのコミュニケーションが主体である。そこには声の抑揚もないし顔の表情も身振り手振りもない。そして、発信できる情報量と発信のしやすさは比例しており、心理的なためらいも情報量に比例する。端的な例を言えば、面と向かって苦情は言いにくいが電話だと少し言いやすくなり、無記名のアンケートなどにはより一層書きやすくなるのと同じ仕組みである。

つまり、ネットでは顔が知れた関係でもこういう事がより起こりやすいのである。ましてや、相手の素性も知らないほぼ符号に近い「実名」で、これに近い現象が起こらないとは到底思えない。いや、顔を知っているほうがよりひどい状態になるケースも出るに違いない。

「実名であれば責任の所在が明確になり、実のあるコミュニケーションが出来る」という考えは叶わぬ願いだろう。そんなことが判らぬはずは無いので、実名を推進する人の本音は情報発信に物理的な実体(反撃対象)を求めているのかもしれない。しかし、もしそうであれば、極端な話物理的実体のない(ハンドルネーム的な)法人格も否定するべきだろうし、それこそ偽造されたかもしれない印刷された手紙やはがきなども一旦は疑ってかかるべきかもしれん。ましてや、誰が書いたか判らないWikipediaなど信用できないものであるし、そこからの引用などもってのほかだ。そのくらい徹底してから実名を推進するべきではないのだろうか。

といいつつ、小倉弁護士のエントリla_causette: 実名・匿名論争が論じるべきテーマはたった一つは、法に携わる方の見解をはっきり示していて妙に納得させられた部分があった。ただ、これも「白黒つける」ためには必要な措置だということだ。というか、揚げ足を取らせてもらえば、以前に小倉秀夫の「IT法のTop Front」というサイトで他人のblogを閉鎖に追い込むことはむしろ恥ずかしいことだというエントリを上げ軽く炎上した際、コメントスクラムを受けてみてで「コメントスクラムって、いざ自分が受けてみると、それ自体はたいしたことがないですね。」と書いていた。大したことが無いのであれば「無責任な攻撃」にもなっていないはずだ。しかし、今回は「無責任に攻撃する自由」は認めたくないようだから、実際は大ダメージを喰らっていたのかもしれん。

サッカーのサポーターの大声援が相手のチームに大きなプレッシャーになることがある。度を越したサポーターの暴走は咎められてしかるべきだが、ネットでは大声援をした人たちも叩かれるようになるのだろうか。まぁ、強いチームは相手サポーターの圧力などには負けないし、逆に黙らせちゃうけどな。







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posted by oyajiman at 2009年10月14日 23:00:00



コメント

小倉秀夫

 私がお仕事として相談を受ける案件って,コメントスクラムのような生やさしいものではないのです。
2009年10月15日 01:06:48

oyajiman

なるほどー。確かに単なるサイト上でコメントバイト数が増えていくだけの事より、現実社会ほうがなにかと厄介なことが多いですよね。それも弁護士に相談しなければならない案件となれば、生半可なことではないのでしょう。

と書いたところで、上のコメントが本当に小倉弁護士かどうか確認のしようもないのですが、それはどうしたらよいですか?
2009年10月15日 09:30:42

山師

つか「匿名だから責任とらなくていい」ってのはかなりマイノリティな意見だと思いますが、なぜか匿名擁護するとこの点を反論されます。
そんな考えてないよ~といっても無駄です。

女性専用電車なんかの問題点を指摘すると「痴漢をしてもいい」と主張していることになっちゃうみたい。
#匿名=無責任、男=痴漢が前提だからだろうけど。

マイノリティな痴漢の法的処罰を納得できても、だから男は皆狼なのよ、気をつけなさいってな意見には違うだろうといいたくなります(笑)
2009年10月15日 12:39:19

oyajiman

今のネットでは、コンテンツがまずありきでそれに対する紐付けとしてIDがあるような気がします。DB的にもその方が最適化しやすいのでしょうね。

識別するには単なる実名ではデータとして足りないので、もっとはっきりした固有の識別子じゃないとダメですよねぇ。それなのに、なんで「実名」にスポットが当たるのかよくわかんないです。
2009年10月15日 13:55:19

小倉秀夫

>なんで「実名」にスポットが当たるのかよくわかんないです

第一義的には,被害者が加害者に対し民事訴訟を提起するには,加害者の氏名及び住所を特定する必要があるからです。さらには,訴訟を提起する前に行う警告にしても,被害者は加害者がどこの誰であるのかを把握していない状態では,加害者は聞く耳を持たないことが多いからです。

匿名を擁護する人は,ネットの匿名性を維持しつつ,匿名性を濫用した誹謗中傷を減少する方法,並びに,匿名性を濫用した誹謗中傷を行った者に責任をとらせる方法を具体的に提案したら良いのではないでしょうか。

私は,この数年間,匿名を擁護する人からは,被害者が我慢すればいい,匿名さんに気に障るようなことを言わなければいいというようなご意見以外聞いた覚えがありません。
2009年10月18日 23:45:47

oyajiman

>匿名を擁護する人からは,被害者が我慢すればいい,匿名さんに気に障るようなことを言わなければいい

「匿名を擁護する人」とそうでない人の「被害」と感じる閾値はかなり違うのかもしれませんね。「耐性がないのが問題。マッチョになって耐性つけろ」と。場面によって正解になったり暴論になったりしちゃいますね。

>ネットの匿名性を維持しつつ,匿名性を濫用した誹謗中傷を減少する方法,並びに,匿名性を濫用した誹謗中傷を行った者に責任をとらせる方法を具体的に提案したら良いのではないでしょうか。

確かにそれは言えます。OpenIDとかYahooIDとか、個人とハンドルネームを結びつける仕組みを推奨するみたいな意見もありますが、本当の意味での「匿名」を維持しつつ・・・という意見は見たことありません。というか、多分「本当の意味での匿名なんてない」と返されて論議終了ですね。暴論すれば、方法を提案できないからそう反論するのかもしれません。ほとんど水掛け論なのが残念です。

小倉弁護士は「実名を推進」するスタンスを取られているように感じますが、対立する意見の間に立つことが多いからなのか、あくまでも中立的な立場に身を置いて判断したいという姿勢が感じられ、ちょっと面白いと感じました。
2009年10月19日 11:07:50

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