高木浩光@自宅の日記 - 日常化するNHKの捏造棒グラフ
こういうグラフなどで目眩ましを狙うのは、企業なんかではよくある手口。実際俺も会社の資料なんかでこういう手を使うことがある。自分でも使うので、こういうグラフみたいなものはパッと見で判断しないクセがついちゃってる。
惑わされないようにするためのポイントは、まず
単位と縦軸、横軸などの
目盛を良く見ることが第一で、その次は
どこから持ってきたデータなのかがきちんと明記されているかだと思う。
また、こういった統計データを表す場合、当然のことながらデータの
母集団に偏りがないかというのは、見せかた以前にものすごく重要なことだ。例えば、ネットでアンケートを取ったりした場合は、当然ながらその母集団は「パソコンや携帯でインターネットにアクセス出来る人」になってしまうわけで、その母集団に「あなたはインターネットでホームページを見ることがありますか?」なんて質問は、質問する意味さえない。だけどそのようなまやかしデータを使ってさもありなんみたいに書かれているものは結構多い。
また、統計のマジックには「平均」がある。たとえば、日本の平均所得は600万とかいう話もあるけど、その中には平均を大きく引き上げている超リッチマンも含まれているわけで、一般的な所得層はデータの中央値や最頻度値を見なければよくわからない。ちなみに日本人の所得の最頻度値は300万を切るくらいだったような気がする。つまり一般的な人は300万前後の所得の人が多いわけで、決して600万貰っている人が普通じゃないのである。その上、何をもって一般的というかという根本的な問題もあるのだ。
このような目眩ましを使うのは、当然ではあるがなんらかの結論が先にあり、架空の事実を客観的に見せるふりをしてその
結論に到達させるために他ならない。こんな手法をマスコミが多用するのは如何なものかと思う。そんなのは報道とは言えず、
世論操作と言うべきものではないだろうか。
しかし、こういう手法にみんながだまされやすいのも確かなことで、これは俗に言う「ニセ科学」を信じてしまう思考パターンと同じ。
まん延するニセ科学と、対峙する科学者たちもいるみたいなんだけど、信じたいことをさも科学的根拠があるみたいに言われると、どうしても信じてしまう人が出てくる。それがあるある捏造などをもたらしたと言ってもいいんじゃないのかな。オウムも根っこは同じだけどね。そう考えると日本人は全然進歩してないんだね。