少し前の話。その日はちょっとした飲み会があり、帰りは最終の電車だった。最終に遅れるとまずいので、携帯に帰りの電車に間に合うようアラームをセットし酒を飲んでいた。
しばらく楽しく酒を飲んでいたが、その楽しい時間もアラームが鳴りあえなく終了。金を払ってその店を出ようとした時、知り合いの姿が目に入った。時間的には若干余裕があったので、その知り合いと少し話をして店を出た。
店を出ると、いつも最終電車に駆け込んでくるおばさんに出くわした。そのおばさんはほぼ発車時間ぎりぎりに駆け込んでくる。そのおばさんが目の前を駆け抜けたということは、時間的な余裕は殆ど無いということだ。実際時計を見ると発車時刻まであと5分程度だ。これはやばい。俺もそのおばさんの後を走ることにした。
そのおばさん、見た目にはジョギングに毛が生えた程度の走り方である。楽勝と思いながらついていったが、これが意外に速いのである。おばさんはさっそうと走って行く。俺はその後を息も絶え絶えになりながら追いかけた。
走ったお陰で電車には間に合ったが、体力的にはかなりのダメージだった。よく考えたら当たり前で、そのおばさんは電車までの距離を毎日走っているのだ。電車に乗ってくるときには息も切れていないし汗もさほどかいていない。そんなおばさんについていけると思った俺が浅はかだったのだ。おばさんマジ速いよ。