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2004年11月24日

メインバンクの真意

[だめだこりゃ株式会社]
社長はいくら詰め寄っても自分で決断することはなかった。それどころか、その計画を銀行出身の取締役に見せてしまったのである。その取締役はその計画には全く関心を持たないばかりか全否定してきた。そんな計画は実行できるわけないというのがその取締役の言い分だった。企業は事業規模が重要で、規模縮小したら企業が持たないと言うのである。

しかし拡大路線からの方向転換は、バブルが崩壊してからどの企業もやっていることだ。この取締役が言っていることは高度成長期の理論である。そのような取締役に会社の命運をかけてよいものなのかはなはだ疑問であった。

また、この取締役は人を整理することを極端に嫌がっていた。主要ポストについている人間がいなくなっては会社が回らないと言うのである。しかしこれもおかしな理論である。その人間たちが会社をおかしくしてきたのである。そんな人間もともと不要なのだ。それに仕事なんて誰がやったってそれなりに回るものだ。まずやらせてみてからダメであれば替えればいいだけである。そのような人事の活性化なくして会社の再生はありえない。

結局のところ、この取締役は会社立て直しよりも出身であるメインバンクを重んじているとしか思えなかった。この取締役とてバカではない。だめだこりゃ社が大変なのは身の丈以上の借入金があるためだということは十分認識しているのだ。建て直しのためには債務の圧縮が大前提なのである。それには金融機関に泣いてもらわなければならない。それが嫌なのである。会社のことよりもメインバンクにおける自分の立場のことを重んじているのだ。この取締役はだめだこりゃ社を建て直すと言うことは建前で、結局のところはメインバンクが損をしないようにする為にだめだこりゃ社にいるのであろう。

この取締役がメインバンクのことを最優先と考えていると言う根拠は他にもある。だめだこりゃ社は100%子会社の資産管理会社が別にあった。100%子会社があるということは、そちらに債務をくっつけて会社を清算してしまえば債務を消すことができる。金融機関にとっては一番やられたくない手段である。経営状態が苦しくなっていることを十分承知のメインバンクは、債務超過を消すということを建前にこの子会社を合併しろというスキームを出してきた。この取締役はこの話をどんどん進め、だめだこりゃ社は昨年度末にこの子会社と合併した。詳しい人はわかると思うが、逆さ合併で債務超過をチャラにしたのである。これでだめだこりゃ社は債務圧縮スキームの有効な手段をひとつ消されてしまっていたのだ。

本来であれば、金融機関の債権放棄は一時期的なものである。それよりも各種手数料・金利などの収入を恒久的に得られるよう継続して取引を続けていったほうが双方にとって有利なことは間違いない。金融機関、特に今後不良債権処理のターゲットとなる地方銀行はそのことを忘れてしまっており、金融監督庁から突っ込まれないようにすることが最大の懸案事項になってしまっている。だから不良債権さえ処理できれば会社なんてどうだっていいのである。現在の金融機関は企業への融資を押さえ込んでいる(いわゆる貸し渋り)ため融資による金利収入が落ち込み、やむなく国債への投資や個人への融資などで利ざやを稼ごうとしている。企業もバカではない。特に優良な企業になればなるほど間接金融から直接金融へ資金調達の手法をが変えてきている。要は客離れを起こしているのだ。それなのに自分からお客を捨てる、これが今後どういう結果になるか考えたほうがいいだろう。

吸い取るだけ吸い取った後に資産を売り払わせ担保分の債権を回収し不良債権を処理する。メインバンクはこれしか考えていないのは誰が見ても明らかだった。しかし、だめだこりゃ社の経営陣のなかでそのことを口に出す者は誰一人いなかったのである。だめだこりゃ社の経営陣は、メインバンクはいつまでたってもだめだこりゃ社の味方だと言い張っていたのだ。おめでたい限りである。

そこで俺はある決断をしたのだった。

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posted by oyajiman at 2004年11月24日 21:05:32



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