Linuxからアホ話まで、何でもありでござる

2011年05月25日

制限こそが工夫を生む

[つれづれなるままに]
商売と言うものは常に隆盛と衰退を繰り返しているが、一旦負のスパイラルに入るとなかなか抜け出せない。そんな時、世の中の多くの経営者は他の少しばかりの成功事例を取り上げて「こういうことをすればいいんだ」みたいなことをよく言うが、残念ながら成功事例と言うのは全体から見ればごくごく稀な話、つまり「レアケース」であることのほうが多い。レアケースの良い部分だけをシステムとして取り入れてもそうそう効果が上がるわけではない。

それでも伸びている企業には共通点がある。それは何かと言うと「ターゲットや業務などを具体的に絞り込んでいる」ということだ。これは先の少量多品種のエントリに通じる部分もあるのだが、商売で一番つらいのは「何でも屋」だ。何でも屋をやるのであれば、とにかくスケールメリットがないと難しい。そんなのは大企業でないと無理なので、中小は専門色を如何にして出していくかが重要なポイントだ。

ターゲットや業務を絞り込むというのは、違う言葉でいうと「制限する」ということだ。制限される要素が増えれば増えるほど、そのままでは出来ないことがどんどん増えていく。この「出来ないこと」が工夫を生むのだ。金が潤沢にあっていつでも最新鋭のPCが買える人間より、遅いPCだけしか使えない人間の方がいろいろな工夫をするのと同じである。工夫は知らず知らずのうちにスキルを上げてくれる。商売もこれと同じで、普通では出来ないことをどうにかして実現しようとするところに工夫が生まれ、それが特色となっていく。

立派な調理人を抱えたホテルのレストランがなぜ街場の小さなレストランに負けるのか、その理由もこのあたりにある。どんな料理でもそれなりに作れるスキル、つまり何でも出来てしまうことが一番の弱みになっているのだ。そこには今までの苦労と思い込みに似た自信・自己満足しかなく、経験はあれど工夫はない。人・金・スペース・・・全てに於いて制限の多い個人営業の店舗は、生き延びるためにそれこそあの手この手でいろいろなことを工夫する。また、チェーン店はオリジナルメニューの開発などはまず出来ないし、ありとあらゆるものがマニュアルで定められている。そういう制限の量がそのまま結果に繋がっているように見える。

それでも、なにか制限が増えると人は文句をいう。そして「そんなの必要ないだろう」とか、「無くても十分やっていける」とか言う。そういう場面を見ていると、「制限は無いほうがよい」というのは単に楽をしたいがための方便でしかないのではなかろうか、と最近良く思うのである。


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posted by oyajiman at 2011年05月25日 23:00:00



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