先日のキリンカップ、われらが代表にさほど目新しいところはなかったが、宇都宮徹壱さんが
「テスト」としてのキリンカップで書いてあるように、パラグアイの守備にはうーんと思わずうなってしまった。
試合開始30分あたりまでの日本のボール支配率は圧倒的で、パラグアイは守ってばかりという風に見えたかもしれない。ただ、俺には最初の時間を使って、日本選手との間合いを正確に計測したように見えた。最初はかなり距離をとって飛び込んだりせずにゾーンで守り、日本の選手個々の間合い、タイミングを見ていたように感じるのだ。
その間合いを見極めたと思われる前半30分以降、パラグアイは日本との間合いを一気に詰め、その結果日本は思ったようにボールを回せなくなった。プレスは早くスペースは与えず、そして攻めも戻りも速い。それだけでなく個々の選手のテクニックは非常に高い。
高い個人技を持ちながら、個人プレーに走ることはないそのプレースタイルに派手さはない。だが、その高い個人技と南米特有の試合運びのうまさがチームとして機能しているのだ。ほんのちょっと時間をかけただけでパスコースは消されスペースはなくなり、そして強烈なプレスをかけられる。見れば見るほど「このチームから点を取るのは至難の業」と思えてくるのである。パラグアイ恐るべし。
フランスワールドカップのフランスvsパラグイアイから、俺はパラグアイのファンだ。あの試合では思わず目頭が熱くなった。後半途中までフランスに攻められ続けたが、チラベルトを中心とした守備は破綻せず、それどころか時折鋭い攻めさえ見せたパラグアイ。フランスは強かったが、パラグアイのチームの結束力と絶対に点は入れさせないという強い意思に心打たれた。
フランスワールドカップのフランスvsパラグイアイのような見る人の記憶に残る試合を、日本も出来るようになるのだろうか。その日が来ることを信じたいが、かなわぬ願いなのかもしれないと思う自分が淋しい。