最近気がついたのだが、俺の部屋は真夜中になると不思議な音がし始める。最初は冷蔵庫の冷媒の通る音だと思っていたのだが、どうも音質が違う。風鈴のようにも聞こえるが、風鈴とすればかなり小さいものだろう。
そもそも冷蔵庫からの音であれば、真夜中でなくても聞こえるはずだ。しかし、寝静まる前や夜が明けてからは聞こえない。不気味な感じがしないでもないが、俺はその音に何ら恐怖を感じない。感じないどころか、さほど気にもならないのである。
なぜなら、その音は猫の首輪に付いている鈴の音にそっくりだからだ。まるで猫が二階から降りてくるときの音そのままなのである。二階から降りてきて餌を食い、俺をほうをちらと見て部屋をぐるりとまわって再び二階に上がっていく。そんなふうな音なのだ。死んだ猫達が毎日俺のところに遊びに来ているのだろうか。そんなことを思うと、ずっと錫の音がしているのも悪くない気がする。