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2009年06月24日

消費期限の長さとロスは反比例する

[うんちくん]
コンビニの見切り販売で盛り上がったついでに、同じような弁当の話を一つ。

弁当の作りおき販売の代表的なものに「駅弁」がある。以前は駅構内での販売を許可された駅弁製造業者も多かったが、駅構内の景観を保つためなどの理由から今では駅弁製造業者の自社販売はほとんど無くなった。現在は、駅構内での駅弁販売はJRの関連会社であるNREが、製造納品は駅弁製造業者が受け持つ場合が多い。簡単に言えば、昔の駅弁会社は納品業者になってしまったということだ。

今でこそ冷蔵ショーケースに保管しての販売が多くなった駅弁だが、以前は常温保管がほとんどだった。当然常温保管での消費期限は非常に短く、夏場は製造後4時間、冬場で8時間程度だったと記憶している。製造工場から販売先に持っていく時間もあるため、製造業者によっては実質の販売時間が2時間程度しかない場合さえある。消費期限を過ぎた商品は当然廃棄である。

あまりに販売出来る時間が短いためロスも多く、業者はロスを減らすため投入個数を絞り込む。それでも自社販売の場合は廃棄によるロスは材料費+若干の経費で済むので、廃棄ロスだけでの被害はまだは少ない方である。問題は納品業者と販売業者が別の場合だ。販売業者は卸値で駅弁を買い取りで仕入れるため、ロスは販売業者もちである。納品価格には材料費の他に納品業者の経費(これには設備投資を含む)と利益まで含まれているため、同じ廃棄個数であれば自社販売業者より販売専門業者方が廃棄ロスだけでの損失は大きくなる。だから委託販売の場合、投入個数の絞り込みは一層激しくなることが多い。駅弁の品切れが多いのは、実はこういう理由からだ。

商品を買い取りで仕入れる販売業者にとって、廃棄ロスは死活問題である。さっきまで1000円で売れれば粗利350円程度が残るはずの物が、消費期限を経過すれば仕入額650円の出費だけが残るのである。1個売れ残ったら余計に2個売らなければその赤字は解消できない。その差はまさに天国と地獄だ。常温販売で廃棄ロスが発生する一番の原因は販売時間の短さなので、販売時間が長くできれば自ずとロスは減るのは自明の理だ。そこで販売業者は冷蔵ショーケースで保管して品質保持時間を延ばす作戦に出た。冷蔵ショーケースではほぼ一日販売出来る。この差はあまりにも大きいのである。仮に駅弁が1週間販売可能であったら、ロスはさらに減らすことが出来る。さらに長くなればさらに削減可能であろう。

廃棄ロスだけを問題にするのであればこの様な解決方法もあるのだ。ただし、ロスが減ればすべて解決かというとそんなことはない。ロス・コスト削減を狙いNREの一大事業として立ち上げた冷凍駅弁O-bentoが、全くの不人気のまま消え去ったのが端的な例だろう。

長期保存が効く商品では、品質保持時間があまり長くてもよくないという話もあるらしい。首都圏デパートなどで開催される「駅弁祭り」は、製造元が常温保管で48時間の品質が保証できなければ出荷できない。つまり、弁当は技術的には常温で48時間保存は十分可能なのである。ただ、弁当は昨日の製造だといかがわしく感じてしまう人が多いだろう。だから品質的には消費期限を延ばすことが可能でも、販売数を確保するためには長くても一日の消費期限が限界なのかもしれない。何事も一筋縄ではいかないのだ。

[関連エントリ]
コンビニ店主「見切り販売」の動きを考察
コンビニ問題で思うこと
コンビニ弁当を値引き販売すればどうなるか
廃棄チャージ理論はおかしい
商品価値は値段で決まる


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posted by oyajiman at 2009年06月24日 23:00:00



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