Linuxからアホ話まで、何でもありでござる

2009年05月23日

本当の「笠地蔵」

[つれづれなるままに]
なんだか次回の1分間の深イイ話に笠地蔵の話が出るらしい。どんな話なのかわからないけど、俺も以前笠地蔵について書いたことがある。あれは少々端折り過ぎだしなんだか記憶と違うところもあるので、再度書いておこう。
昔々、働き者の老夫婦がいた。その年は作物の出来が悪く、食うにも困る状況であったのだが、爺さまは婆さまに正月でだけでも餅いりの雑煮を食べさせてあげたいと思っていた。そこで爺さまはわらで笠を作り、街に笠を売りに出かけた。

しかし、笠はひとつも売れなかった。当然餅など買えるはずもない。婆さまを喜ばせたかったが、どうも山のほうの天気が怪しい。このままでは帰れなくなるかもしれん。そう思った爺さまは笠を売るのを諦め、家路に着いた。

帰る途中で山は猛吹雪となった。その途中に、今にも雪に埋もれそうな地蔵さまがあった。
「はて、こんなところに地蔵様があったかのう。」
爺さまは不思議に思ったが、地蔵が寒そうに見えた爺さまは売れなかった笠を地蔵につけてあげた。しかし、ひとつ笠が足りない。そこで爺さまはほっかむりしていた自分の手ぬぐいを外し、地蔵につけてあげた。

やっとのことで家にたどり着いた爺さまを、婆さまはいつものように出迎えた。
「吹雪の中、寒かったでしょう。」
婆さまは爺さまについた雪を落としてあげながらそう言った。
「笠、売れんかった。」
「そうですか・・・」
「餅は買えんかった。」
「そうですか・・・」
「帰り道、地蔵さんが寒そうじゃったんで、笠をつけてあげてきた。笠が足りんかったで、お地蔵さんのひとつは手ぬぐいをかけてやった。」
「それはいい事をしましたねぇ・・・」

婆さまはそんな優しい爺さまがとても大好きで、自分のために餅を買いに行ってくれた爺さまをとても感謝していた。爺さまは、正月の餅さえ買ってこれなかった自分を一言も責めたりしない婆さまが一緒にいることを、とても有難いことだと思った。

そして、二人は餅もなにも入っていない質素な雑煮を食べ、眠りについた。

朝起きると、昨日の猛吹雪は嘘のように止み、辺りは絵のように美しい銀世界だったそうな。
「きれいじゃのお。お地蔵様が天気にしてくれたのかのぉ。」
こんなきれいな景色を二人で見れたことを幸せに思い、これからもずっと仲良く二人で生きていこうと心に誓ったそうな。
たしかこんな感じだったと思う。

これは30年以上前にテレビ寺子屋で聞いた話だ。話していたのは確か吉岡たすくさんだったと思う。今でも忘れられない話である。



ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by oyajiman at 2009年05月23日 23:00:00



コメント

コメントはありません

トラックバック

トラックバック
このエントリにトラックバックはありません
このトラックバックURLを使ってこの記事にトラックバックを送ることができます。 もしあなたのブログがトラックバック送信に対応していない場合にはこちらのフォームからトラックバックを送信することができます。.

コメントする