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2004年06月24日

M&A資金の使い道

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社は、M&Aにより十数億の資金を調達できた。金融機関へは収益改善のため、返済のリスケを申し入れ、紆余曲折はあったが承諾してもらった。とりあえずながら立て直しの準備は整ったのである。

しかし、残された部門の収益性は低いままである。なぜ収益性が低いのか?簡単に言うと、材料費と人件費が高いのだ。

そこでだめだこりゃ社は、大規模な人員整理に着手し始めた。ここまでは普通だろう。しかしそのやり方は将来を考えたものではなく、辞めさせやすい若い人材、経営者の気に入らない人間から先に手をつけてしまった。残ったものは年寄りとイエスマンだけである。また、リストラと称してはいるが、その中には自然退職者ならびに社員から時給者への切替なども含まれていた。そのため体質は、変わらないどころか悪化してしまったのである。

もう一方の材料費についても、まったく改善が図られなかった。経営者は「コストを下げろ」と言うばかりで、どうやれば下がるかわからない状態であった。ご存知のとおり、決算に出てくる材料費は、前月在庫+当月仕入-当月在庫の数字となるが、数字上で材料費を下げるとしたら、架空在庫を載せてしまえば下がってしまう。通常このような操作を行われないようにする為監査が入ったりするものであるが、だめだこりゃ社には「監査」という意識はなく、驚くべきことに棚卸表さえなかったのである。つまり、月末在庫でいくらでも調整できたのである。だから、現場の長が変わると、必ずと言っていいほど改ざんが発覚した。それも数十万というかわいい金額ではなく、数千万単位で出てきた。こういう状態になったとき、経営者のスタンスとして、膿を全部出そうとする人と隠してしまおうとする人にはっきりと分かれる。だめだこりゃ社は後者であった。塩漬け人事の出来上がりである。

また、あらゆる個所の設備も老朽化していた上、金融機関から資産売却による返済を迫られていた為、設備投資資金にも数億という金額が投入された。しかし、その設備投資は、事業規模をまったく考慮していないものであった。はっきり言って過剰投資である。

こういった状態であったので、収益は改善されるはずもなかった。収益はまったく改善されず、M&A資金はどんどん運転資金へと消えていった。資金がなくなれば、人員整理も出来ない。人員整理の計画が頓挫したのは、M&Aが終わって2年も経たない時期である。たった2年で、だめだこりゃ社は、再び手詰まりの状態に入ってしまったのだ。

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posted by oyajiman at 2004年06月24日 22:40:57



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