昨日、終電前にビデオ屋に寄った。年末は再販DVDが発売されることが多いから、何か安いのが出ているかもと思ったからだ。思ったとおり2枚で2500円とかというやつの品揃えが増えている。俺は終電の時間を気にしながらDVDを物色していた。そして数枚のDVDを手に、レジに向かった。時計を見ると
終電15分前である。
レジには俺の前に一人の客がいた。その客の会計はすぐ終わり、俺は店員に手にしたDVDを渡した。レジの兄ちゃんは「只今盗難防止用のタグを外しますので少々お待ちください」とかなんとかいって作業を始めた。
兄ちゃんはDVDを包んでいるフィルムを取りタグを外す。たかだか4枚のDVDなのだが、やけに手際が悪い。やっと全てタグを外し終わりレジ打ちを始めたのだが、ここでも「オマエ、研修生か?」と言いたくなるほど作業が遅い。そのとき既に
終電5分前である。
「このDVDは、DVDをお買い上げになった方に差し上げております。」
なんだかプロモーション用のDVDが付いてくるようだが、「
そんなのどうでもいいよ兄ちゃん。あと5分なんだぜおい!」と言ってやりたい衝動を押さえ黙ってうなずく。くだらん事を喋っては、ますます遅くなる可能性があったからだ。
買ったDVDを袋に入れる時の手際がまたすばからしく、
人をなめてんのかオマエという言葉が俺の頭の中で渦巻いていたのは言うまでもない。DVDを手にして店を出たのが
終電3分前。
走れ!走るんだおやじ!!
俺は走った。残り推定180秒。走って間に合うかどうかさえ不明な、まさにぎりぎりの秒数だ。「走ってなんになる。むだな事はやめろよおやじ。」ともう一人の俺がささやきかける。しかし俺は走った。ひさびさに本気で走った。
息も絶え絶えになりながらホームに着くと電車はまだ止まっている。亊無きを得たようだが腰が痛い。ああ、年は取りたくないものだなと思う。
帰ってからは買ったDVDは見ずにゲームをして寝た。今日ゆっくり買えばよかったと思う。あほまるだし。