Linuxからアホ話まで、何でもありでござる

2007年03月03日

20代のPC離れと言えるのか(数字のマジック)

[だめだこりゃ]
パソコン見放す20代「下流」携帯族

この記事を読むと、確かにパッと見た目は20代のパソコン離れが進んでいるように見える。

この元となったデータは≪データクロニクル2006・ファクトシート≫2000年から2006年の6年間でウェブ利用者の年齢構成に大きな変化 20代の構成比が半減、中高年齢層や10代は着実に増加からきているようだ。

俺も家庭からパソコンが無くなる日も遠くないという感じがしている。しかし、はたしてこのデータからPC離れが進んでいると判断していることを鵜呑みにしていいものなのか。

このグラフでは、単に年令別のパーセントしか表示されていない。まず第一の問題は、サンプル数が判らないことだ。ちょっと考えても、2000年に14才だった人は2006年には20才になっている。このデータのWEB利用者総数は増えているのか減っているのか、それさえわからない。母集団とサンプルの状態が判らないこんなデータは当てにできるものでは無い。

このデータのサンプル数が同じと仮定した場合、ある年齢層のPC利用パーセントが下がるということには大きく分けてふたつのパターンがある。ひとつは「以前は使っていたが、今は使っていない」という、途中から使用を止めた人数が増えた場合で、もうひとつは今までもPCを使っていない10代の層がそのまま20代になった場合だ。いずれのケースもパーセンテージは下がる。しかし、このデータではいずれのケースかは全く判断できない。

もっと根本的なことをいえば、昨年よりある年齢層のPC利用パーセントが下がったということは、昨年のPCでのWEB利用者数(A)÷昨年のWEB利用者総数(B) > 今年のPCでのWEB利用者数(A’)÷今年のWEB利用者総数(B’) ということで、この数式が成り立つのは
1、A≧A' かつ B<B'
2、A≧A' かつ B≧B' かつ A×B'>A'×B
3、A<A' かつ B≦B' かつ A×B'>A'×B
4、A<A' かつ B>B'
の4パターンのなかで1〜3があてはまる。見てのとおり、3の場合などはWEB利用者総数と家庭のPCからのWEB利用者数ともに増加してもパーセントは下がってしまう。このような場合で「PC離れが進んだ」という馬鹿はいないだろう。

先のグラフだけでいえば、年齢層別のWEB利用者の総数が何人で、その中で家庭のPCからのアクセスは何人であるという全体像をはっきりさせもらわないと本当のところは判らないのである。また、他の年齢層と比較して、それぞれの伸びはどうなのかということも大きな判断材料のはずだ。しかし、その絶対数についてはまったくわからない。意図的に隠しているとしか思えない。このグラフのように話題にしやすいことだけに加工されたデータは、全く使いものにならないどころか話題づくりのための意図的な操作と断言してもいいだろうというのが率直な感想だ。

言葉だけではちょっとわかりにくいので、上記3のパターンの実例を挙げてみる。
以下のデータは、俺の捏造データだ。あくまでデータ的に言えばこんな話だってあるということで見てほしい。

WEB利用者の総数と、そのうち家庭のPCからのWEB利用者数がもし下記のようであった場合、年代別のWEB利用者のうち家庭内のPCからの利用者%は先のデータに近い数値となる。
元データ
元データをPDFで見る

これだけではわかりにくいので、これをグラフにしてみると次のようになる。
WEB利用者総数はこんな感じ。
WEB利用者総数
WEB利用者総数をPDFで見る

家庭のPCからのWEB利用者数はこんな感じ。
家庭のPCからのWEB利用者数
家庭のPCからのWEB利用者数をPDFで見る

このグラフを見て、元の折線グラフのようなインパクトがあるだろうか。そしてこのデータで「PC離れが進んでいる」と断言できる人はいるのか。といいつつ、この解釈は先のデータと全然解釈が違っていておかしいんだけれど。

さらに記事についてのくだらない揚げ足取りをすれば、110というエラーコードを110番と間違える事自体は、携帯は電話がかけられるのだから110=警察と連想してもなんら不思議なものではない。PCは電話がかけられないから、もし119番のエラーコードが吐かれても電話を連想する人はあまりいないことは十分考えられる。よってPCのエラーコードを見て電話の受話器を取る人はいないだろうと思われる。もっと言えば、エラーコードが吐き出されることが頻繁に起こる事自体がおかしいことだということを忘れてはいけない。そんな不完全なものより、エラーコードなどをあまり見なくて済む携帯のほうがある意味で完成度は高いと言えるだろう。気楽に手軽に使えるからこそ、携帯が使われるのではないのか。

また、キーボードが使えないことを不安視しているようだが、そもそもキーボードがいつまでユーザインターフェースの主役でいられるのかは誰も判らない。極端な話をすれば、キーボードを使うより話した方が速い。キーボードが音声入力に取って代わられることだってありうる。そのとき、「電卓」が「そろばん」を駆逐してしまったように、キーボードは古びたインターフェースとなってしまうだろう。

今はすでに携帯=疑似PCだ。それを「下流」と言えるのか、はなはだ疑問である。使えないことを意味するデジタルデバイドとは全く意味が違うのである。使う必要が無いのと使えないのは全く違うことを覆い隠し、このようなセンセーショナルな感じに仕上げるのは如何なものかと思う。

この調査をしたネットレイティングス株式会社は、ネット視聴率のような調査をしているところらしい。しかし、この会社のサイトは、俺の使っているLinuxのブラウザでは上のほうのメニューがうまく表示されない。ネット調査のプロみたいに書いていても、サイト自体が訪問者の使用する環境によってはきちんと表示されないのだ。そんなところのデータなど信用できるか、と思われてもしかたないかもね。


[2007年03月09日 追記]

あまりにデータの解釈がおそまつ、かつ、意味不明だったので、俺の言いたいことをもう少しわかりやすくまとめてみました。

全然わかりやすくないとか間違えたの載せるなアホウとか、画面に向かって言っていただければこれ幸い。

ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by oyajiman at 2007年03月03日 05:50:00



コメント

コメントはありません

トラックバック

トラックバック
チミンモラスイ?
20代にデジタルデバイド なの?: 20代の若年層の若年層にPC離れの兆候、PC族と携帯族の「デバイド」が進んでいるという記事が話題のようです。 「パソコン見放す20代「下流」携帯族」2007.3 @FACTA  衝撃だった。パソコン(PC)が使えない団塊世代以上の高年齢層の断層を「デジタル・デバイド」と呼ぶが、第二のデバイドが出現したのだ。20代の若年層である。まさか、と思うなかれ。高額のパソコンを持たない彼らは、インターネット利用を安価な携帯電話で...
2007/03/04 20:08
このトラックバックURLを使ってこの記事にトラックバックを送ることができます。 もしあなたのブログがトラックバック送信に対応していない場合にはこちらのフォームからトラックバックを送信することができます。.

コメントする